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12. 琉球本紅型

 紅型染は「びんがたぞめ」と読み、沖縄の染物である。着物の好きな人であれば、その特殊な読み方も、どんな柄行き染物なのかも知っている。しかし、意外と本紅型を見たことのある人は少ないはずである。沖縄を旅行して、あるいは百貨店の沖縄展の類で紅型染のハンカチなどを手にする人も多い。確かに色、柄供に紅型染と呼んで差し支えない物だけれども、本(当の)紅型染とは似て異なるものである。

 紅型染の小紋や振袖と称する物の大半は内地で(沖縄に行くと現地の人から、内地あるいは本土という言葉を聞くことがある。私はどうもおかしな気がするが、現地の人がそう呼んでいるので・・・)染められているものである。京都や十日町で染められた紅型がほとんどである。本場琉球で染められた物が本物、他はまがい物と言う見方は正しくない。京都の栗山工房で染められる紅型染は栗山紅型として、すばらしい作品を送り出し、染物業界では確固たる地位を占めている。

 しかし、琉球と内地で染められる紅型染の間にはその染方に決定的な違いがあるのである。

 紅型染はその名が示すように型染の染物である。手描友禅のように直接作家が生地に絵を描くのではなく、柄は型を用いて描かれる。琉球、内地供に型を用いて柄を描くのだけれども、その手法は全く異なる。型染と言えば型友禅の如く、型で柄を刷り込んでいく。同じものを大量に作るという意味では型友禅は画期的な発明だった。内地で作られる紅型も同じ要領で染料を混ぜた糊を型で生地に刷り込み染物を作る。京友禅と違うのは紅型染の独特の柄と色である。南国風の色と柄は一目で紅型染と分かるのである。

 しかし、琉球の本紅型染は型で柄を染めるのではなく、型で糊を置いていく。そして、型で置かれた糊の間に手で色を刺していく。時にはブラシを使って微妙なボカシが施される。同じ柄の物を沢山作ることができるけれども、二つとして同じ色、同じボカシ具合の物はできない。色を手で刺すので「手刺し」とも呼ばれる。又、色料は顔料が使われ、朱、丹、臙脂(エンジ)、黄土、墨、群青などの独特の色が使われ、内地で染められる紅型とはまるで違った色合いである。

 強い色を使い、南国的な華やかさの中にも何かもの寂しさの漂う琉球本紅型は沖縄の歴史そのもののようにも思われる。


 

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