Ⅶ-40 着物の処分・古着(その2)

着物は直線裁ちを基本として、寸法を採るのに生地を縫い込み、また内揚げをして仕立て替えを可能にしている。洋服には、仕立替えをして他人が着るという事は想定されていない。

予め仕立替えを前提に着物のデザインがなされたのか、着物のデザイン故に仕立替えが可能なのかは分からないが、伝統的に着物は仕立替えをして着られてきた。

そういう意味から言って、着物の処分の相談に来られる方には呉服屋として「誰か身内で着る人がいたら着てもらうのが良い」と言う言葉が出てしまう。自分が着ないのであれば誰か身内で着る方に仕立て替えて着てもらうのが着物にとって最も幸せだろうと思う。

しかし、昨今の事情を鑑みるに、他人の着物を仕立て替えて着たいと言う需要は非常に少ない。着物にとっては残念ではあるが、現実にはなかなか難しい。

そうなると、着物を処分したい人にとって選択肢は➁➂➃のいずれかとなる。いずれにしても着物を手放す、他人に渡す場合基本的に着物について知っておかなくてはならない。

着物を売り払う場合いくらで売れるのか、着物を処分したい人にとっては興味のある事と思う。中には高額な着物もあり、相応の価格で売却できると思う人もいるかもしれない。

着物に限らず物の売り買いと言うのは、売る人がいて買う人がいる。双方の価格が一致する時売買が成立する。これが商品売買の基本である。

金や(上場)株の場合取引は比較的簡単である。相場は決まっていて、売る人はいくらで売れるかが分かる。大量に売り出せば相場に影響するかもしれないが、通常の売買では売りに出せばその時の相場で売買は成立する。

着物の場合はどうだろうか。着物の価格と言えば呉服店の店頭で値札が付けられている。その価格で買えばすぐに売買は成立する。しかし、呉服の小売価格に関しては以前から延々と解説してきたけれども相場と言うものはない。安い店頭価格と展示会等の価格では五倍以上差がある場合もある。

着物を買う人は感じていないかもしれないが、買い手(お客様)は売り手(呉服屋)が提示する価格に納得して買うのである。時には値引きをして買う場合もある。最終的には、その価格でその商品を買うのが妥当と判断してお客様は着物を買う。そう言うと「着物の価値は分からないから呉服屋さんが一方的に価格を決めて・・・。」と言う反論を頂戴するかもしれない。

しかし、物の売買は基本的にはそういうもので、売り手買い手双方が責任をもって成立したものである。残念ながら現在の呉服の世界では、「接待」や「勧誘」、「作家物」や「落款」と言った付加価値で目を曇らせられているケースも多い。着物を購入する時はあらゆる雑音を排し、自分がその金額で着たい着物なのかを判断するのが大切であると以前より書いてきた。

そのような目で判断した場合、自分が持っている着物を他人に譲る時、譲られる人(買う人)が「いくらであればその着物を着たいのか」が問題となる。買う人の判断には、もといくらで買った着物かは問題ではない。単純にその着物を着て見たいか否かが買う値段を決める事になる。

加えて、古い着物(中古品)、汚れがある等のマイナス点も考慮する事だろう。

つづく

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