Ⅶ-39 続「KIMONO」騒動(その5)

日本の食文化の中で世界にその名を馳せるものとして「寿司」がある。「寿司」は「SUSHI」として世界に通用する。今や世界中どこの国に行っても(と言えるほど)「SUSHI」は食されている。

昔、私が子供の頃、「寿司」は中々食べられなかった。今程裕福ではなかったこともあるが、冷蔵技術の発達も寿司の普及に貢献しているのだろう。

その頃、外国人は「寿司」を食べない物と思っていた。実際そうだったろうと思う。「生の魚を食べる」と言う風習は日本以外にあまりない。イタリア料理でカルパッチョと言う生魚を使った料理にお目に掛かるけれども、カルパッチョと言うのは牛の生肉を使ったもので、生魚を使ったのは日本人のシェフが始めたと言う話を聞いたことがある。

中国料理では、魚であれ野菜であれ生では食べず、必ず火を通すと言う。西洋料理で言うところの「サラダ」は中国料理には元々存在しない。

そんな中国でも今や「寿司」は人気である。今までマグロの刺身のおいしさを知らなかった中国人にマグロの刺身や寿司の味を覚えさせてしまったばかりに日本の市場に出回るマグロが減ってしまったのを嘆かずにはいられないが、それだけ日本の「寿司」が世界中に認められたと言う事だろう。

日本を訪れる外国人の多くは「寿司」を食して行く。以前、西洋人のグループが店にやって来て寿司屋がどこにあるのか教えて欲しいと言う。しかし、私は外国人に寿司屋を紹介するのに答えに窮してしまう。

果たしてその外国人は、安い回転ずしを紹介してほしいのか、それとも老舗の職人が握る寿司を食べたがっているのかが分からない。下手に高級店を紹介すれば、ぼられたと勘違いして国際関係にひびが入るかもしれない。反対に日本の最高級の寿司を食べに来たのに機械で握る安い回転ずしを紹介したのでは、これまた国際関係に問題を起こしてしまう、などと考えると答えに窮してしまうのである。

これだけ「SUSHI」が世界中に広まると、日本人としては誇らしく思う。世界中に寿司屋が出来て、寿司職人になりたい外国人が沢山来日していると言う。「SUSHI」は「JUDO」と共に世界に広く認められている日本の文化である。

先日、回転寿司チェーンの「くら寿司」がニューヨークのナスダック市場に株式を上場したと言うニュースがあった。既に寿司は日本を飛び出して世界の「SUSHI」になっている。

しかし、海外の寿司屋で食べた人の話を聞いてみると、また違った問題が見えてくる。

海外の寿司屋では、日本ではお目に掛からない寿司が供されていると言う。

カリフォルニアロールと言う巻き寿司が随分前に話題になり、現在日本でも供する寿司屋もあるらしい。かにかまやアボカドにマヨネーズや白胡麻を使った巻きずしである。海外発の巻き寿司として一頃話題になり、日本の寿司屋でも供されていると聞いたことがある。

カリフォルニアロールは、日本の寿司の延長と言う気もするが、最近は「これがお寿司?」と思われるような「SUSHI」が見受けられる。フルーツを握ったり巻いたりした寿司。何をネタに使っているのか分からないけれども色鮮やかな寿司等。それらはそれまでの日本の寿司とはかけ離れたもので、日本の寿司屋では今後とも出されないと思える寿司である。

他国の料理を自分たちが取り入れてオリジナルの料理を創る、と言うのは珍しい事ではないし、悪い事ではない。

つづく

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