Ⅶ-37 またまた呉服業界の危機(羽二重がなくなる)その2

羽二重地は昔から福井や福島、新潟で織られてきた。福井は主産地で、今でも胴裏地の多くを織っている。新潟の五泉市は塩瀬羽二重や紋付地の羽二重地を織っていた。次第に福井では胴裏が中心となり、紋付地は五泉市が主産地となっていた。

数年前、染帯に使う塩瀬羽二重地がなくなると言う話を聞いた。しかし、今でも塩瀬の染帯は見かけるので未だ織られているのだろう。ただし、塩瀬ではなく光沢のある縮緬地を使った染帯も見かけるようになった。

どちらにしても染帯に使う塩瀬羽二重地が消滅に向かっている感はあった。そんな矢先「紋付地がなくなる」と言う話である。

羽二重の紋付地を織っているのは、五泉市の一軒だけだったらしい。その織屋さんが織るのをやめると言うのである。

唯の一軒が生産するのは独占である。需要が少なくなったと言えども、全国の需要を一軒で独占するのであればやっていけない事もないと思うのだが、呉服業界はそれ程厳しいらしい。

羽二重地というのはとても難しい生地である。難しい、と言うのは、まず織るのが難しい。縮緬の様にシボがなく光沢がある為に難が出やすい。不純物が混入したり、織りに難が生ずると素人目にもすぐに分かる。

それに染めるのが難しい。黒紋付の場合は目立たないが、色紋付に染めると染ムラが出やすい。羽二重地の無地染めは、染屋さんに嫌がられてしまう。

今回、羽二重地が無くなると言う話を聞いて、
「在庫はまだあるのですか。」
と聞いた。すると答えは、
「今はありますけど、必ずあるとは限らないので安受けしないでください。特に色物はクレームフリーだそうです。」

つまり、現在手持ちの在庫が切れればおしまい。色紋付は染めるけれども染難がでても染替える生地もないので引き取ってもらえるのならば染めます、と言う事だった。

染難については、昨今の状況を見るに、型染の僅かな誤差も染難と見る風潮も否定できない中で、染屋は大変やりづらいだろうと思う。

それにしても、果たして本当に紋付地の羽二重は消えてしまうのだろうか

つづく

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