Ⅶ-35 きものの産地、京都(その2)

仕入れで京都へは年間一回になってしまったが、東京へは度々上京している。東京にも問屋がありマメに仕入れをして店の商品管理を行っている。

それでは、わざわざ京都に出向く必要もないだろうと思われるかもしれない。しかし、京都に出向かなくてはならない事情がある。

先に記したように、昔の問屋は商品が豊富だった。何時伺っても目当ての商品があった。呉服問屋は慣例的に毎月初めに売り出しをする。通常、販売員は商品を持って全国に営業するが、月末には商品共に戻って来て月初めの売り出しに備える。月初めの売り出しに行けば豊富な商品に出会えたのである。

しかし、今の問屋はかつての力はなく商品を持っていない。在庫を抱える余裕がなくっている。従って月初めの売り出しと言えども、商品を求めようとする小売店が満足するような品揃えができていない。

京都の問屋は、その地の利を生かして年に数度大きな展示会を催す。会場は自社ビルではなく、産業会館や国際会議場と言った広い会場で展示会を行う。その時には自社の商品だけでなく、染屋や織屋の応援を得て品揃えをする。染屋や織屋が自社の商品を持って会場に出向く。その時ばかりは多くの商品に出会う事ができる。

そんな展示会を狙って京都に出向くのである。そして、多くの染屋さんや織屋さんと直接出会えるので、色々な情報を仕入れる事ができる。

生産現場の情報はとても有用である。自分が必要とする商品はどこで創っているのか。昔あった商品は今創っているのか、等。しかし、残念ながら彼らの情報の中には、「あの織屋さんはもうやめました。」「それは、もう作ってないと思います。」と言うようなネガティブな返事が多くなってきた。

自分の店で揃えなければならない商品が、今染められているのか、織られているのかと言う極基本的な情報に神経をとがらせなければならない昨今である。

「きものの産地、京都」は、昔の様に、「着物に関しては、探せば何でも見つかる。」と言った印象は薄れてきた。しかし、それは京都のメーカーが悪いのではない。業界が縮小することによって生じた必然的な結果である。

これからの着物業界は、私のような零細な呉服屋にとって益々商いが難しくなるかもしれない。しかし、何とか伝統を守り、お客様に良質な着物を届けたいと思う。

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