Ⅶ-22 絹の動向(その4)

今回入手した資料によれば、2003年に比べた2014年の縮緬類(生糸を原料とする呉服の素材)の生産数量は16.5%、即ち83.5%の減少である。それに対して同じ年の比較で、中国からの生糸の輸入量は28.8%(71.2%減)、ブラジル産は15.5%(84.5%減)である。国内で生産される生糸は2003年には4,800俵あったものが2014年には僅か400俵、8.3%(91.7%減)である。

日本の絹の需要が減る以上に日本の生糸の生産は減少し、その穴埋めに中国、ブラジルの生糸が入ってきている。そして、特に中国の生糸の割合が増えているのが分かる。

中国産の生糸とブラジル産の生糸の輸入量は、2008年には2.64対1であったのが、2013年には、6.31対1になっている。数量から言えば、中国は横ばい、ブラジルが減少している。

ここで疑問に思えるのは、中国やブラジルの生糸が果たして日本の生糸に取って代わることができるのかと言うことである。高品質の日本の生糸で織られた縮緬が、中国やブラジル産で織った場合どうなるのか。

実は、正直言って直感できるほどの差は感じないかもしれない。既に相当数の海外の生糸、と言うよりもほとんどの縮緬が海外の生糸で織られている。生糸は海外であっても、製織、精錬を日本で行えば生地に「日本」の文字が押印されるので見た目には区別がつかない。知らず知らずのうちに海外の生糸は呉服地の多くを占めるようになっている。日本の絹が何時海外の絹に取って代わったのかは分からないまま海外の絹は国内に入り込んでいる。

それでも、純日本製、即ち製繭、製糸、製織、精錬全てを国内で行った反物を触れてみると、サラサラとしたその感覚の違いに驚かされる。純国産の白生地をお客様に触ってもらうと、その違いに驚いていた。呉服業界自体が国産の縮緬の感覚を忘れ海外の生糸に慣らされていると言う事だろう。

しかし、今更「日本の絹を」と叫んでみてもどうにもならない。日本の養蚕農家の数は1994年には19,040軒あったものが、2014年には僅か393軒である。パーセンテージにすれば2%である。

今更国内で増産を叫んでもたかが知れている。そして価格的にはとても太刀打ちできない製品を増産して売れるかどうかも分からない。そう考えれば、国産品は超高級品として標本の如く存続させ、汎用の絹は全て海外品と言う事になって行くのだろう。

しかし、これから先がまた問題である。海外からの絹はこの先安定して日本に供給されるのだろうか。

ブラジルの繭、生糸の生産量は1993年1994年をピークとして減少している。それに合わせたように日本への輸出も減っている。中国は2007年をピークとして繭、生糸共に減少しているが、世界の生産量の70~80%を占めている。中国が世界のシルク生産センターと言っても過言出来ない。

それでは中国の生糸は日本に今後とも安定供給されるのだろうか

つづく

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