Ⅶ-15 呉服の流通に関する気になる動き(その4)

呉服の需要が減り、売り上げが減ってくると小売屋も余り商品の買取をしなくなった。と言うよりも売り上げの減少に比例して買い取る量も少なくなってきた。問屋としては売り上げ減少に歯止めを掛けなければならない。

そこで始まったのが大規模な展示会商法(消費者セール)である。問屋が商品を並べ、小売屋がお客様を連れてくる。お客様が買った分だけ小売屋の仕入れとなる。買取をしたくない小売屋と売り上げを創りたい問屋のタッグマッチである。

この大規模な展示会では、問屋自身も商品を買い取らず浮き貸しで調達しているケースが多い。即ち、問屋が染屋織屋から商品を借りて展示会場に並べる。結局、問屋も小売屋も在庫負担はなく、染屋織屋がその負担を負うことになる。

染屋織屋にしても売上を創る為にはそういった展示会には乗らざるを得ず、次第に広まっていった。

展示会の商品は、染屋織屋、問屋、小売屋のリスク回避の経費を背負って莫大な価格となって並べられる。それでも呉服の商品相場に疎い消費者は、適正な価格の数倍で購買してくれる。

このような流通に慣れた業界では、更に大規模に展示会を催して売り上げの確保を図っている。問屋は、より大規模により多くのお客様を集める業者に傾倒し、商品を注ぎ込んでゆく。

一回の展示会で数千万円の売り上げを創る小売屋であれば、問屋は惜しみなく商品を用意して投入する。そうした商売に慣れた問屋は既にそれが商売の主流になってきている。商品をかき集めて浮き貸しして多大の売上を創る。そのような問屋では、もはや中小の小売店が買取をする金額などは物の数ではないのだろう。

最近、私が憂慮するのはこの点である。

問屋の中には、昔は買取を歓迎していたが、最近変わってきたところがある。商品仕入れに赴いても、余り歓迎されないのである。商品を買い取り、返品せずに代金を支払う、と言う商売の基本的な事を忌避するのである。

大手の問屋にとっては、中小の小売屋が買い取る金額など多寡が知れているのかもしれない。また小売屋の中には買取をしない小売屋も増えている。しかし、大規模な展示会に浮き貸しとは言えども大量の商品を投入すれば大きな売り上げが得られる。価格も、買取の様に算盤を弾いて値引きに応じる必要もなく、大きな利幅で売り上げができる。買取などあてにしたくない気持ちも分からない訳ではない。

しかし、このような流通体系には大きな問題が伴う。

つづく

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