Ⅶ-15 呉服の流通に関する気になる動き

最近、問屋との取引で気になる動きがある。全ての問屋がそうではないけれども、業界全体が悪い方向に向かっているような気がしてならない。

内容は、業界に対する警鐘として書くつもりつもりなので、消費者には分かりづらいかもしれないけれども、着物を愛する人たちに必ず悪い影響を及ぼすものなので、できれば理解していただきたい。

呉服の流通については以前事細かに書いたけれども、おさらいをしてみよう。

着物や帯などの製品は生産者(織屋・染屋)が作る。製品を消費する(着物を着る、帯を締める)のは消費者である。消費者へは小売店(呉服屋)が製品を提供する(売る)。

小売店は消費者に製品を提供するためには製品を仕入れなければならない。小売店が製品を作っている生産者から製品を仕入れられれば良いが、全国にある生産者から仕入れるのはほとんど難しい。大島紬仕入れるために鹿児島や奄美大島へ行き、博多帯を仕入れるために福岡まで足を運ぶ、と言うのは無理である。仕入れの出張費だけで莫大なものとなってしまう。

また、生産者が小売店に製品を卸すことも困難である。余程大きな生産者(メーカー)であれば、営業部門を創り小売店に製品を卸すこともできるかもしれないが、生産者は生産する製品の品種が限られているために非常に効率が悪い。小売店の要望には極一部しか応えられない。まして中小零細の生産者は創る製品も限られ、遠方の小売店と取引するのは困難である。

そこで、生産者と小売店の間に問屋が介在する。問屋は生産者から製品を買い集め、小売屋に製品を卸す。総合問屋であれば、呉服に関するほとんど全ての製品を揃えて小売屋に製品を卸すので商売としては効率が良い。生産者は創った製品を取引する問屋に売り渡すだけで良い。小売店は数件の問屋と取引すれば全国津々浦々の製品を購入できる。

実際には、産地で製品を集める産地問屋が前売り問屋(主に小売店を相手にする問屋)に製品を卸すケースもあり、商品が複雑な経路を経て小売屋に卸される場合もあるが、単純化すれば、生産者→問屋→小売屋という商品の流れになる。

而して生産者は製品の制作に専念し、問屋は製品を集め小売屋に卸す。小売屋は商品の仕入れにそれ程苦労することなく消費者に商品を売ることに専念できる、と言った効率の良い流通形態が出来上がる。長年このような流通が呉服業界でも行われてきた。

さて、商品の売買、取引には金が動く。商品代金の支払いが発生する。生産者から製品を買った問屋は生産者に代金を支払う。問屋から商品を買った小売屋は問屋に代金を支払う。当然の話である。

商品の取引には二通りある言葉以前述べた。商品を買い取って代金を支払う「買取」と商品を預かり売れた分だけ代金を支払う「委託販売」(呉服業界では「浮き貸し」と言う)である。

つづく

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