Ⅶ-ⅹ 絵絞り庵再訪記(その2)

京都では5~6件の問屋を周る予定だった。あらかじめ訪問する問屋の順序を決めている。その一番最後に「絵絞り庵」があった。

「絵絞り庵」には十五年くらい前に伺ったことがあった(続々きもの春秋12.工房訪問記「福村廣利、絵絞り庵」参照)。「絵絞り庵」は、辻が花作家 福村廣利先生の工房である。福村先生はすばらしい辻が花の作品をずっと創り続けている(辻が花については「きもの博物館26.辻が花染」参照)。前回訪問した時は、息子の健さんは修行を始めたころだった。しかし、今は父親の廣利先生と工房で作品を創っている。

その健先生より数日前に突然メールを頂戴した。メールを頂戴するのは十数年ぶりだった。そのメールには、京都に来た時には寄ってもらいたい、それはもちろん商売の話だった。

福村先生の「絵絞り庵」は京都の北東、大原の近くにある。京都の問屋は主に室町通り付近に多い。大原は、室町からは随分遠い。時間的に果たして伺えるのかどうか分からない。健先生のメールには、「時間があれば伺います。伺う場合はお電話致します」とだけ返信しておいた。
さて、6時に京都の街に降り立った私は、休息と朝食の(安い)店を探した。しかし、朝食を供する店はほとんど開店が7時だった。地下鉄バスの1日券を買って地下鉄で五条まで行った。五条は私が世話になった問屋のある場所である。その問屋は既になく、「京都の街も随分と変わったな。」と思いながら朝食の店を探しながら四条まで歩いた。しかし、やはりどこも開店は7時からで、まだ準備中の店ばかりだった。
四条から少し戻ると、先程まだ準備中だった店に四~五人の行列ができていた。朝食を採る為か、あるいは出勤前のコーヒー、と言うところだろう。ビジネスマン然とした人が並んでいる。
私がちょうどその店に着くと扉が開いた。モーニングを注文して約一時間、新聞を読んで今日訪問する問屋の順序と場所を確認した。

問屋が開くのは9時。それに間に合うように店を出て問屋に向かった。少々早く着いたけれども9時前には入れてくれた。もちろん一番乗り。朝が早いので他の客もなく商談も早く進み、2件目3件目と問屋を周った。

途中、問屋さんが車で送ってくれたりしたので効率よく回ることができ、予定の問屋を周ったところでまだ3時を過ぎたところだった。帰りのバス時間まではまだまだある。「絵絞り庵」を訪問することにして電話をした。

前回訪問した時には地下鉄で終点の国際会議場まで行き迎えに来てもらっていた。今回は大原行きのバスで行った。「絵絞り庵」は前回訪問した場所から引越して、もよりの三宅八幡停留所のすぐ近くだという。1日乗車券を持っていたこともあり四条のバス停から京都バス大原行きに乗った。

京都のバスは意外と便利である。案内の地図を見れば路線がすぐにわかる。四条から鴨川を越えて川端通りを北へ、大原に向かった。途中、居眠りもしたが30分くらいで大原の少し手前、三宅八幡に着いた。

電話をして場所を聞くと、健先生が迎えに来てくれた。

続く

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