Ⅱ-ⅳ 展示会 (その2)

それまでの「展示会」は、店頭販売の延長線上にあると言えるものだった。多くの商品を展示する為に会場を借り、対象となるのは「お得意様」であった。

しかし、その後の「展示会」は「客を集める為の展示会」に変って行った。

一度も顔を合わせたことのない人に「展示会を行いますので来て下さい」と勧誘して回る。そして、展示会に来たお客様には過度な接待をして着物を買ってもらう、と言った「買わせる為の展示会」すなわち「展示会商法」の性質が色濃くなっていく。

私の店では今、展示会はほとんど行っていない。平成10年頃までは店外の会場を借りて行っていた。しかし、展示会を開くデメリットが大きくなり店内での単品催事を行っていた。

展示会のデメリットとは次のようなことである。

第一に、呉服業界の規模が急速に縮小したこともあり、商品が揃わなくなってきた。店の在庫に加えて問屋さんから商品を借りて展示してより多くの商品の中から消費者に選んでいただこうという趣旨に反して、展示会で商品を揃えるのが困難に成ってきた。

その裏には、展示会商法に頼る業者が多くなり、どの業者も一時に展示会を催す為に期間的に品薄になるという事情もあった。

第二に、展示会に経費が掛かり過ぎて採算が取れなくなっていた。後に述べる「展示会商法」の業者は益々過度な接待をエスカレートさせていった為に、豪華なDMや過度な接待、会場費に多額の経費を掛けざるを得ない状況になっていた。

「展示会商法」の業者は、いくら経費が掛かろうとも全て商品価格に上乗せする為に採算を維持しているが、常時店頭で販売している呉服屋が展示会で価格を上乗せして高い価格で販売するわけには行かない。

呉服は価格の分かりにくい商品といわれるが、初めて展示する商品に上乗せした価格を表示することはできるかもしれないが、長年ごひいき頂いているお客様であれば価格の変化は敏感に感じるだろうし、商道徳の上でもできることではない。

第三に、売上が減ったこともある。売上が確保されるのであれば薄利であっても続けることはできるが、業界の縮小という時代の波には勝てなかった。

上記に挙げた展示会のデメリットとは、単に販売する側すなわち呉服屋にとってのデメリットだけではなく、価格に経費を上乗せする等消費者にとってもデメリットが大きい事を考えなければならない。

従来の呉服屋にとって、展示会をどうするのか、岐路に立たされていただろう。「展示会商法」へと向かうのか、他に是正する方法を考えるかである。

結果的に「展示会商法」へと向かわなかった呉服屋の多くは店をたたんでいる様に見える。また、積極的に「展示会商法」を行った呉服屋も壮絶な競争に敗れて店をたたんだ呉服屋も多い。

「展示会商法」では、消費者の購買意欲を喚起する為に様々な工夫が凝らされている。呉服への関心を示す消費者は少なくなり、また着物を着る人でも既に多くの着物を持っている。呉服に関心のない人に呉服を買ってもらう為に、沢山の着物を持っている人に更に呉服を買ってもらう為の工夫である。

次に挙げるのは展示会商法で行われている様々な工夫である。

つづく

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