Ⅰ-ⅴ インターネットの価格 (その4)

③過剰生産、注文はずれ

前項で示した「不良在庫」は、主に小売屋、問屋で発生する。織屋や染屋(特に小規模の)では、生産した物をすぐに問屋に引き渡す場合が多く、メーカー自体は小売屋や問屋のように長期間在庫することは少ないので、「不良在庫」は余り発生しない。

しかし、メーカーでは「過剰生産」や「注文はずれ」として商品が安価で流される場合がある。

小売屋や問屋から注文を受けて作ったところが、何らかの理由で引き取られずに大量に残ってしまう場合がある。引き取ってもらえない理由はさまざまで、できあがった商品が注文された仕様と違っていた場合もある。注文した問屋、注文を受けたメーカーどちらが悪いのかはそれぞれであるが、そういう場合が生じることがある。

また、次のような事もある。

問屋さんが私の店にやってきた。

「今日は出物があったので持って着ました。」

出物とは特に安く仕入れたバッタ商品である。商品を箱から出すと、同じ柄の小紋が沢山出てくる。問屋はソロバンを弾いて、

「この小紋、値段はこうです。」

一見とても安い価格である。商品を良く見てみると高級品ではないが、それ程安い商品でもない。問屋はにやにやしながら、

「実はこの小紋、ナショナルチェーン〇〇の戻り品なんです。」

ナショナルチェーンは全国に数十店舗から数百店舗展開している。キャンペーンをすれば全国で同じ商品を数百点から数千点販売することができる。安く仕入れる為に、直接メーカーに企画商品を発注する。力のあるナショナルチェーンならではの商売である。

メーカーとしては、大量に注文をもらえる為にコストダウンなどメリットも大きい。

しかし、ナショナルチェーンは買取はしない。売れ残った商品はメーカーに戻される。すなわち、3千反染めてナショナルチェーンに納め、2500反売れれば500反返品となる。それでもメーカーは利益を得られるが、返品された商品を少しでも売って現金化しようとする。価格は原価すれずれであっても、また原価を割ってでも大量の反物をメーカーの不良在庫として置いておくよりは売ってしまった方が財務的には良いのである。

こうしてそれらの商品は市場に流される。取引先の問屋を通じて我々のような小売屋にも回ってくる。ただし、このようなケースでは、メーカーがナショナルチェーンに配慮しておおっぴらには流通させないことが多いので、インターネットには余り出てこないかもしれないが、商売の世界では利益の為に商品がどう動くかはわからない。

「過剰生産」には他にもいろいろなケースがあるが、いずれも現金化するために通常の原価を大きく下まわるような安い価格で商品が流される場合がある。

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