Ⅰ-ⅴ インターネットの価格 (その3)

②不良在庫

小売屋では、商品を問屋から買い取ってマージンを上載せして販売している。販売した価格と問屋からの仕入値の差額が利益(マージン)である。従って販売価格が仕入値を下回ることは通常ありえない。

しかし、商売は複雑で全て原則通りとは行かない。

小売屋が仕入れをする時は真剣勝負である。柄、価格ともにお客様に受け入れて頂ける商品を選ぶ。何百反もの中から「これなら間違いない」と仕入れるのだけれども、仕入れた商品が必ず売れるとは限らない。

呉服屋の場合、商品は一つ一つが異なった商品である。お菓子屋さんの様に、同じ商品を沢山売る場合は同じ商品を複数在庫しているが、呉服屋の在庫は一つ一つが違う商品である。小紋の在庫が二十反あれば一つ一つ柄が違う。

食料品店では牛乳を売る場合、手前に賞味期限の近い牛乳が並べられている。同じ牛乳なので古い牛乳から売ろうと言う意図がうかがえる。しかし、呉服の場合、小紋を買いに来たお客様に仕入れ時期が古い小紋から売ると言うわけには行かない。どの小紋を買うかはお客様が決める。昨年仕入れた小紋を選ばれる場合もあるし、仕入れたばかりの小紋を気に入る場合もある。

仕入れた商品は価格、柄共に慎重に選んだ商品なので多くは2年以内には売れてしまう。しかし全て売れるわけではなく、中には売れ残る商品もある。長年売れない在庫は、「不良在庫」「死蔵品」と呼ばれ棚の隅に寝てしまう。

それらの商品は、売れるまで待つこともできるが、余りに古くなると売れなくなるし、経営的には資金が寝てしまうことになる。

従って「不良在庫」品は早く売ってしまう必要がある。しかし、売れないとすれば値引きをして、すなわち赤札で販売したりする。その価格は物によっては原価を下回って売られる。資金を寝せておくよりは、早めに現金化しようという経営判断である。

「不良在庫」は必ずしも悪い商品ではない。商品の価値は、その価格との相対的な判断で決まるものなので、消費者が納得できる価格であれば十分に商品として通用するものである。

それらの商品は店頭で「赤札」あるいは「処分品」として売られる場合もあるが、「不良在庫」が余りに多い場合には、その筋の業者に売却する場合もある。中には古すぎて少々ヤケなど難のある商品もまとめて引き取る専門業者もある。その価格は二束三文の世界である。

そういった商品もバッタ商品と呼ばれ流通するが、一部は加工に使われているとも聞くが、再び流通経路に載るものもある。その場合、価格は正規の流通経路で流される価格よりも遥かに低価格であることは当然である。

インターネットで安売りに供される商品にはそういったバッタ商品もあると思われる。 (つづく)

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